著作権管理団体の役割
著作権管理団体について知るにあたり、なぜ著作権管理団体が存在しているのかを理解しておく必要があります。ここでは、そもそも著作権管理団体とは何か、どのような役割を果たしているのかについてお話します。
【著作権管理事業者とは?】
著作権管理事業者とは、作詞作曲家個人または音楽出版社・法人から委託を受けて著作権を管理している団体のことを意味します。著作権は、著作物を創作した時点でその著作物の作詞作曲家個人または音楽出版社・法人に自動的に発生する権利です。この作詞作曲家個人または音楽出版社・法人は、著作物を利用したい人に向けての使用料をいくらにするかなど、使用条件を決める必要があります。 これらをはじめとする著作権に関する作業は複雑ですので、利用依頼が多くなると作詞作曲家個人では著作権を管理するのが難しくなっていきます。
作詞作曲家個人が著作権の管理に手間取っていると創作活動に影響が出る可能性があります。そこで作詞作曲家個人の代わりに、著作権管理事業者が著作物の著作権を管理しているのです。
【著作物使用料の振り分けについて】
著作物を利用するには著作物使用料が発生します。作詞作曲家個人が自身で著作権を管理している場合、著作物を利用したい方は直接作詞作曲家個人に利用申し込みをして使用料を支払うことで利用することができます。また、著作権管理事業者に著作権の管理を依頼している場合も、著作権管理事業者に利用料を支払うことで作詞作曲家個人にも利用料が届きます。
作詞作曲家個人が著作権契約を行う場合、使用料振り分けのパターンがいくつかに分かれます。ここではそれぞれのパターンについて詳しくご紹介します。
■関係者が全員著作権管理事業者と著作権信託契約を結んでいる場合
作詞作曲家個人が著作権管理事業者と直接契約を結んでいても、音楽出版社も同様に著作権契約を結ぶことができます。その場合、使用料は作詞者・作曲者、音楽出版社に直接分配されることになります。さらに音楽出版社に分配された使用料の一部は著作権譲渡契約にもとづいて作詞者・作曲者に再分配されることとなります。
■音楽出版社と著作権管理事業者のみが著作権譲渡契約を結んでいる場合
音楽出版社が著作権管理事業者に著作権の管理を依頼している場合は、管理事業者に支払われた使用料は音楽出版社に一度支払われます。その後、著作権譲渡契約にもとづき作詞者・作曲者に再分配されます。
■海外の作品の場合
海外の著作物の場合、作詞作曲家個人が海外の著作権管理事業者と著作権契約を結んでいる場合があります。その場合でも、国内の著作権管理事業者が海外の著作権管理事業者と管理契約を結ぶので、使用料は国内の著作権管理事業者を通すこととなります。
国内の著作権管理事業者は海外の著作権管理事業者に使用料を送金すると同時に国内の音楽出版社に分配を行います。海外の著作権管理事業者は作詞作曲家個人と海外の音楽出版社に再分配を行い、国内の音楽出版社からも海外の音楽出版社に送金が行われ、海外の音楽出版社を経て作詞作曲家個人に再分配されます。
上記で紹介したのはJASRACにおける使用料の振り分け方となります。作権管理事業者によって振り分け方が異なる場合もあります。
新たな著作権管理事業者「NexTone」が登場
2015年、エイベックスは音楽作品の円滑な利用を促進する窓口となるべく「NexTone」を設立しました。
NexToneとは、16年2月に誕生した新たな著作権管理事業者です。もともと音楽管理ビジネスを展開していたエイベックスの傘下企業、「イーライセンス」と「JRC(ジャパン・ライツ・クリアランス)」の2社が合併・事業統合したことで生まれました。
NexToneの登場は、JASRACがほぼシェアを独占していた音楽著作権管理ビジネスに一石を投じるもの。今後はNexToneがエイベックス所属の有名アーティストの楽曲を多数管理することになるため、業界へ大きな影響を与えるのではと予想されています。
しかし、エイベックスの音楽著作権に関するすべての権利をNexToneが管理するわけではありません。
権利ごとに請け負う会社が違うというケースも起こりえます。音楽利用の申請を複数の会社にしなくてはならないので、利用者にとってはかなり面倒な状況だと言えるのです。とはいえ、NexToneの存在が著作権管理業界に新たな風を吹き込んだことに間違いはなく、状況の変化が期待されます。
それを裏付けるように、NexToneは著作権使用料に関する新たな方針を発表しました。YouTubeで音楽が利用された場合に支払う使用料を、従来の定額制から再生数などの実績に応じた変動性へ移行したのです。
こうした動きは著作権管理の透明性を向上させることにつながると高く評価されており、音楽産業全体の活性化につながるのではと予想されています。
様々な著作権管理団体
自分で購入したレコードやCDを店舗BGMに使用する場合はもちろん、自分で編集したコピー版をBGMとして流す場合でも音楽著作権管理事業者へ申請しなくてはなりません。後者に限っては音楽著作権事業者の他にも発売レコード会社(実演家・レコード製作者)などの許可も必要です。例えば、一般社団法人日本レコード協会(RIAJ)では、商業用レコードの二次使用料の徴収のほかにも、レコードやCDの利用許諾手続きの説明やレコード会社の連絡先の紹介なども行っています。
そのほか、ミュージックビデオなどの映像作品などをBGMに使用したい場合は、権利者である専門の管理事業者への申請が必要になります。
このように使いたい音楽や映像によって申請先が変わってしまうので、店舗経営者はいくつかの音楽管理事業者をチェックしておかなくてはなりません。
なお、ミュージックビデオの中で使用されている楽曲をJASRACやNexToneが管理している場合は、そちらにも申請が必要になるので注意しましょう。
店舗でBGMを流す際の手続きは大変?
自身でお店を開いた場合、「BGMを流したい」と考える方も多いでしょう。しかし、何も考えずにお店でBGMを流してしまうと問題が発生する場合もあります。ここでは、お店でBGMを流す場合にどのような手続きが必要なのかをご紹介します。実際にBGMを流す前によく確認しておくようにしましょう。
【手続きが必要な利用例】
基本的に、店舗BGMでの使用など著作権管理事業者(JASRAC)が管理している楽曲を私用以外で利用する場合には、手続きが必要です。違法ダウンロードした楽曲を使用するのはもちろんNGですが、実はお金を出して買ったCDや音楽データも、お店などの施設でBGMとして使うには手続きが必要です。またCDだけでなくカラオケ音源などを使用する際にも手続きが必要なことは忘れてはいけません。
*お金を出して買った音楽データは個人使用が前提なので、そもそもお店ではBGMとしては使えません。
【著作物使用料】
店舗のBGMとして楽曲を使う場合の著作物使用料は、店舗面積によって異なります。支払い方に関しても年額使用料と月額使用料のほか、1曲1回の使用料で支払うことも可能です。詳細は次のように設定されています。
店舗面積 |
年額使用料 |
月額使用料 |
1曲1回の使用料 |
500㎡まで |
6,000円 |
1,200円 |
2円 |
1,000㎡まで |
10,000円 |
2,000円 |
3円 |
3,000㎡まで |
20,000円 |
4,000円 |
7円 |
6,000㎡まで |
30,000円 |
6,000円 |
10円 |
9,000㎡まで |
40,000円 |
8,000円 |
13円 |
9,000㎡以上 |
50,000円 |
10,000円 |
17円 |
手続きの流れについても確認しておきましょう。店舗BGMの利用手続きには、オンラインで申請する方法と申込書を利用する方法があります。
オンラインでの申し込みができない方は申込書をダウンロードして、担当支部に直接提出するかFAXまたは郵送で提出します。申し込みが受理されるとJASRACより許諾書と請求書が届くので、使用料を預金口座引落または振込で支払えば、手続きは完了です。無事著作権処理が完了するとJASRACよりステッカーが交付されるので、店の入口などに貼り付けておきましょう。
ここでは店舗にてBGMを使用するための手続きの方法をご紹介しましたが、使用目的によって様々な手続きと確認事項があります。また、申請してから許諾がおりるまで期間が空いてしまうため、店舗BGMを利用したい場合はスケジュールに余裕をもって申請を行いましょう。著作権処理に手間を割きたくない! そんな方におすすめのサービス
著作権管理事業者が増えると企業間で競争が生まれるため、サービス面が改善されたり料金が安くなったりと利用者にとってメリットが発生します。しかしその一方で、BGMに使用したい楽曲によっては複数の著作権管理事業者に申請する必要があるため、手間だなと感じる店舗経営者も出てくるはずです。加えて、著作権処理の分散化は店舗BGMの選択肢を狭めてしまう恐れも。
株式会社 USENが提供している店舗用BGMアプリ「OTORAKU -音・楽-」なら、面倒な著作権処理の手間が一切不要です。すべての権利処理を請け負うため、面倒な手続きを行うことなく店舗BGMを利用できます。また、仮に著作権管理事業者が増えたとしても、「OTORAKU」で配信される楽曲はすべて著作権処理済みなので、店舗経営者自らが著作権処理の申請を行う必要はありません。
「OTORAKU」の扱う楽曲は、国内の主要音楽レーベルはもちろん、海外のインディーズレーベルまでを網羅しています。 さらに、その中から好きな音楽を選んでオリジナルプレイリストを作成しできるので、BGMにこだわることが可能です。もちろんBGMのプロが作成したプレイリストも用意されているので、音楽に詳しくないという方や手早くBGMをさっと流したい方など、簡単に店舗の雰囲気にあったBGMを見つけることができます。
著作権管理ビジネスは、今後ますます加熱していくことが予想されます。NexToneの後に続いて管理事業者が増えることも予想されるため、著作権処理が複雑化してしまうという可能性もゼロではありません。
手間をかけずに店舗BGMを利用したいという方は、この機会にぜひ「OTORAKU」などの便利なBGMサービスをご検討ください。