CDの著作権に関係する権利者
CDの著作権に関係する権利者は主に以下の3者です。
著作者
著作者は著作物を創作した人です。音楽CDの場合は、作詞家や作曲家となります。
実演家
実演家は、著作物を演じ、舞い、歌い、口演し、演奏し、朗詠し、またはそのほかの方法によって演じた人のことを指します。音楽CDの場合は、歌手や演奏家などが該当します。
レコード製作者
テープ、CDの、ハードディスクなどに音を固定(録音)した人のことです。音楽CDの場合は、レコード会社などを指します。
著作権制度の概要
著作権制度とは、著作物を保護するための権利です。音楽、小説、イラストなどを保護する法律の一つで、知的財産権の一つとなります。著作権制度は、著作物を保護することで、文化の発展に寄与することを目的として作られました。この著作権制度を守るために作られたのが、「著作権法」です。
著作権にはどういった権利があるか
著作権には、主に以下の4つの権利があります。
著作者人格権
著作者人格権とは、著作物を通して表現された著作者の人権を守るための権利です。著作権自体は他の人に譲り渡すことも可能ですが、著作者人格権は作った人自身の人格を保護するもののため、譲ることは不可能です。
そのため、著作者や著作権を他者に譲った場合でも、著作者人格権は著作者が持ち続けます。
著作者人格権にはさらに以下の3つの権利があります。
公表権
著作者が著作物を公表するかどうか、公表する際にはどのような方法で公表するかを決めることのできる権利です。
氏名表示権
著作者が自分の著作物に氏名を表示するかどうか決める権利です。必ずしも本名にする必要はなく、ペンネーム等も可能です。
同一性保持権
著作者が著作物のタイトルや内容を、他者に勝手に変えられないようにする権利です。
上記の3つのほかにも、著作者の名誉や社会的な評価を傷つけるような手段で著作物を利用した場合、著作者人格権を侵害したものとみなされることがあります。
著作権(財産権)
著作権法では、著作物の利用方法について権利が定められています。著作権法で定められている方法を使って著作物を利用する際には、著作権者の許可が必要です。
たとえば、以下のような権利があります。
複製権 | 印刷、写真、コピー機などによる複写、録音、録画などの様々な方法で「ものに複製する」権利です。著作権の中で最も基本的な権利とされています。 |
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上演権・演奏権 | 演奏会や演劇の上演などのように、著作物を多数の人に聴かせたり、見せたりする権利です。CDなどを聞かせることも含まれます。 |
公衆送信権 | テレビ、ラジオ、有線放送、インターネットなど著作物の送信に関する権利です。 |
上映権 | フィルムやDVDに収録されている映画や写真などの著作物を、多くの人に見せるためにスクリーンやディスプレイに映す権利です。 |
公の伝達権 | テレビ、ラジオ、有線放送、インターネットを用いた著作物の伝達に関する権利です。 |
貸与権 | 映画以外の著作物の複製物を貸出する権利です。 |
口述権 | 小説や詩などの著作物を朗読などで多くの人に伝えるための権利です。 |
展示権 | 美術や写真の著作物を多くの人に見せるために展示する権利です。 |
頒布権 | 上映して多くの人に見せるために作られた映画の著作物を販売したり、貸したりする権利です。 |
翻訳権・翻案権など | 著作物を翻訳、編曲、脚色などの方法で二次的著作物を作る権利のことです。 |
二次的著作物の利用権 | 二次的著作物を利用することについて、原作者が持つ権利のことです。 |
二次的著作物の利用権 | 二次的著作物を利用することについて、原作者が持つ権利のことです。 |
実演家人格権
実演家人格権とは、実演家の人格的利益を保護するための権利です。氏名表示権と同一保護権の2つが定められており、他人に譲渡したり、相続したりすることはできません。
著作隣接権(財産権)
著作隣接権は、著作物を公衆へ伝達する際に重要な役割を果たしている人に与えられる権利です。音楽の場合、実演家やレコード製作者、放送事業者、有線放送事業者などが該当します。
著作隣接権は、実演やレコードの録音、放送または有線放送を行った時点で発生します。保護期間は、実演やレコードを録音した時から70年間、放送または有線放送を行った時から50年間と定められています。
何に権利が発生するか
音楽CDの場合は、収録されている楽曲や歌詞が著作物に該当します。さらに、歌手や演奏家、レコード製作者などにも権利が発生します。
店舗等でCDを流す場合の著作権の利用手続き
「購入したCDは自分のものだから関係ないのではないか」と考えがちですが、購入したのはあくまでもCDという録音媒体であり、その楽曲を他人に聞かせる権利まで購入したわけではありません。CDを購入したからといって、楽曲に対する権利には関係しないです。
さらに、BGMとして使うだけなら「お金をもらっているわけではないのでいいのではないか」と思いがちですが、店舗など営利性のある場での雰囲気作りなどに使用する場合も営利目的による利用になります。
そのため、購入したCDを店内で流す際には、しっかりと手続きをして著作権使用料を支払う必要があり、そうしない場合は著作権侵害となってペナルティが課せられます。あらかじめJASRACに申請と利用料の支払いを行いましょう。
支分権ごとに手続きが必要
著作権(財産権)は複数の支分権で構成されています。録音する時には複製権、演奏する時には演奏兼などの手続きが必要です。市販されているCDを店舗のBGMとして利用する場合は、以下の手続きが必要とされています。
働く支分権 | 利用手続きを行う人 |
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働く支分権CDの製作に関わる複製権 | レコード製作者 |
店舗で音楽を流すことに関わる演奏兼 | 店舗の経営店者 |
手続き方法
1.BGMオンラインライセンス窓口もしくは申込書による手続き
手続きはオンライン、郵送、FAX、支部窓口へ提出するという4つの方法があります。オンラインで申し込む場合は、JASRACのホームページから手順に沿って必要事項を記入します。郵送、FAX、支部窓口への提出する場合は、担当支部に連絡後に申込書に記入して提出しましょう。
2.許諾通知および使用料の支払い
許諾通知が来たら、使用料金の支払いを行います。支払い期限までに銀行振込、コンビニ支払い、スマートフォン決済サービスのいずれかで支払いましょう。
著作権侵害によって課せられるペナルティ
著作権侵害の場合、「民事上の請求」と「刑事上の罰則」という2種類のペナルティが課せられます。
民事上の請求としては、侵害行為の差止請求、損害賠償の請求、不当利得の返還請求、名誉回復などの措置の請求の4つがあります。損害賠償の請求と不当利得の返還請求では、金銭のやり取りが発生します。これらの請求はどれかひとつだけというわけではなく、理由が認められれば4つすべて請求されるケースもあります。
2015年から2年続けて、JASRACは音楽著作権の手続きが済んでいない事業者・店舗に対して民事調停の申し立てを行っています。美容室や理容店、アパレルショップ、飲食店といった様々な店舗がこの調停の対象となっていますが、その半分以上が美容室であったとされています。近年はインターネットなどで簡単に音源を入手することができるようになったため、こうしたトラブルは増えていると考えられます。
民事調停は訴訟とは異なり、当事者同士の話し合いによって解決することを目的としていますが、訴訟に発展するケースや始めから訴訟となるケースもあります。
また、著作権侵害はれっきとした犯罪であるため、著作権者が告訴した場合は有罪か無罪かの判決が行われることになります。有罪となった場合には刑事上の罰則が科せられ、著作権侵害の場合は10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金となります。これらは併科可能であるため、懲役と罰金の両方が課せられるケースもあります。侵害者が法人であった場合、罰則はより重くなり、3億円以下の罰金となります。
また、著作権侵害に関する判例をみると、侵害者が、著作権者が誰であるかを認識していない場合であっても、著作権があることを理解していれば処罰の対象となることが分かります。
つまり、誰が作ったか分からないものであっても、著作権フリーであると明示されていない楽曲を使用すれば著作権侵害で処罰される可能性があるのです。
OTORAKUなら著作権を心配する必要なし!
今回ご紹介したように、店内BGMとしてCD音源を使う場合にはJASRACに申請して著作権使用料を支払わなければなりません。刑事罰に問われる可能性もあるため、改めて店内BGMについて見直しが必要です。CDだけに限らず、他にも著作権侵害となるケースはいくつかあります。OTORAKUを利用すれば、そうした著作権関連の心配は必要ありません。
OTORAKUは、店舗用BGMとして利用できる音楽配信サービスです。定額を支払えば国内主要レーベルや海外のインディーズレーベルなど様々な音楽を聴くことができます。著作権関連の面倒な作業も不要で、著作権を侵害することなく安心して店舗用BGMとして利用できます。
これから店舗用BGMの見直しを行う方や、新たに店舗用BGMを導入するという方は、ぜひOTORAKUの利用をご検討ください。
※個人利用及びライブ配信ではご利用いただけません。
よくある質問
Q.著作権フリーのCDはある?
著作権フリーと明記している音楽CDも販売されています。著作権フリーであれば、店舗BGMとして使っても問題ないとされています。
Q.音楽CDの値段に含まれる権利料の割合は?
音楽CDには様々案件が含まれています。一般的な音楽CDの場合、原盤製作者分とアーティスト分の「原盤印税」が約12~16%、著作権使用料が約6%とされています。残りが製作費やプロモーション費などのレーベル分と、問屋やショップなどの流通分となります。
Q.「私的利用の範囲」とはどこまでが私的利用?
「私的利用」とは個人で使う範囲などとされています。たとえば、CDを買ってきて車でも聴きたいためCDをコピーしたとします。これは私的利用の範囲と考えられます。ただし、「友人にあげよう!」とコピーすると、本来売れるはずのCDの売り上げが減ってしまう可能性があるため、範囲外になるでしょう。
Q.著作権が消滅した曲は自由に使って良い?
著作権が消滅した音楽については、自由に使って良いとされています。ただし、「誰かが演奏したり、歌ったりしたCDを店舗BGMに使う」などの場合は注意しましょう。音楽自体の著作権は消滅していても、その音楽を演奏した人や歌った人の権利は消滅していない可能性があります。