BGMが患者への配慮につながる! 嬉しい3つの効果
病院でBGMを流すことで得られる効果には、主に以下の3つがあげられます。
患者の緊張や不安を和らげることができる
検査や治療を受ける患者の多くは、待合室で緊張と不安を抱えています。BGMを流すことで、そんな患者の緊張や不安を緩和させることが可能です。1/fのゆらぎ※が取り入れられた音楽など、人が自然とリラックスできるような音楽を流すことで、安らぎを与えることができるのです。
※ろうそくの炎の揺れや波の音など、規則的・不規則的なものが調和した状態。その音はヒーリング効果があると言われています。
こうしたBGMによる効果は、数々の研究で立証されています。例えばメキシコでは、治療前の患者に音楽を聞いてもらい、それが緊張や不安の緩和につながるかを調べる研究が行われました。その方法は、同程度の不安を感じている患者を2つのグループに分け、一方のグループには治療前に音楽を聞かせて、もう一方のグループには聞かせないというもの。その結果、治療前に音楽を聞いた患者は音楽を聞かなかった患者に比べて心拍数や血圧が低くなりました。また、ストレスを感じると増加する唾液中の"コルチゾール"の量も少ないという結果に。これにより「音楽を聞いた患者のほうが緊張や不安が和らいでいる」ことが分かりました。
検査や治療の前に緊張や不安を緩和させなければ、過剰に血圧が上昇したり、心拍数が早まったりして、正しいデータが取れない可能性があります。正しいデータを得ることは、病気との因果関係を明確にする上で重要なこと。誤った判断を防ぐためのひとつの手段としても、病院におけるBGMは必要だと言えます。
待ち時間を短く感じさせることができる
患者にとって待ち時間は、短ければ短いほどよいもの。待合室にBGMを流すことで、"感情誘導効果"により待ち時間を短く感じさせることが可能です。ポイントとなるのは、ややアップテンポで明るい音楽を流すこと。ゆったりとしたスローな曲調ばかりではなく、時々テンポがよい明るめの音楽を流すことで、時間の流れも早く感じさせることができるのです。
ただし、患者の中には体調が優れないことで精神的にも肉体的にも苦しい状態にある方もいますので、アップテンポな音楽が不快音になってしまうことも。そのため、待合室でBGMを流す際は音楽の選定に十分配慮することが大切です。
診察室からの個人情報漏洩を防止できる
BGMの効果のひとつに、不快な音(雑音など)を掻き消す"マスキング効果"があります。これは、病院の診察室でも役立つ効果です。病院によっては診察室が部屋として独立していなかったり、待合室と診察室がカーテンで仕切られているだけだったりする場合もあります。そのような診察室で患者のプライバシーに関する話をしてしまうと、他の患者に個人情報が漏れてしまう恐れが。そこでBGMを活用すれば、マスキング効果により個人情報の漏洩を未然に防ぐことができるのです。
病院におけるBGMは患者をリラックスさせるだけでなく、音のカーテンとしての重要な役割も果たしてくれます。
病院でBGMを有効活用すれば、患者にとってよりよい空間を作ることができます。病院を運営されている方は、ぜひこの機会にBGMを導入してみてはいかがでしょうか。
手術室にも音楽を! 患者・医師にもたらす効果とは
病院におけるBGMは待合室や診察室だけでなく、手術室でも役立てることができます。
例えば、患者の意識がある中で行う局所麻酔の場合、無音の空間だと緊張状態が続いてしまい、患者の考えがマイナスに働く恐れがあります。BGMを流すことで、緊張や不安を緩和させたり、意識を紛らわせたりすることができるため、患者に安心感を与えることができます。実際に、ある病院では患者が手術室に入ってから麻酔を施すまで、患者が希望した楽曲を流しているそうです。
手術室におけるBGMは、患者だけでなく医師にとってもよい効果をもたらします。例えば医師の希望に合わせたBGMを流せば、手術に対する集中力が高まりミスの防止に一役買ってくれます。ミスが絶対に許されない環境の中、BGMによって高い集中力をキープできるのは、医師にとって非常に大きなメリットだと言えます。
空間演出に役立つだけでなく、人間の感情にもよい効果をもたらすBGM。手術室に導入することで患者をリラックスさせ、さらには医師の集中力を向上させることもできます。「手術室にはまだ取り入れていない」という病院は、ぜひBGMの導入を検討してみてください。
おすすめはコレ! 病院のBGMにぴったりな3つの音楽
音楽と一口にいっても、その種類は様々。病院で流すなら、クラシック音楽やヒーリングミュージック、童謡などがおすすめです。
ゆったりとした曲調が特徴的なクラシック音楽は左脳を休ませるので、リラックス効果があると言われています。そのため、患者が緊張や不安を抱きやすい待合室や手術室などにぴったりです。
ヒーリングミュージックは、安らぎを感じさせる効果があると言われています。その理由は、ヒーリングミュージックの多くに1/fゆらぎが取り入れられているため。耳にするだけでホッと心を落ち着かせることができるので、クラシック音楽同様、待合室や手術室などで流すのが望ましいと言えます。
童謡は、小児科の待合室や診察室で流すのがおすすめ。子どもたちが聞き慣れている音楽を流すことで、緊張感を与えない空間を作ることができます。
病院でBGMを流す際は、患者だけでなく医師や看護師などスタッフのことも考慮することも大切です。例えば、スタッフの休憩室ではJ-POPなど眠気が覚めるような明るめの音楽を流してみましょう。カルテの整理などを行う時間帯には、アップテンポな音楽を流すことで作業効率がよくなります。
「誰に向けたBGMなのか」という点を意識することで、より適切な音楽を選ぶことができます。病院にBGMを導入する際は、ぜひ参考にしてみてください。
安らぎや癒しをくれる音楽はコレ!知られざるオルゴールの効果とは?
とくに安らぎや癒しが必要な病院には、オルゴールがおすすめです。オルゴール音は高周波音を発するため、脳をリラックスさせる効果があるといわれています。脳だけでなく心身もリラックス状態へ導くことから、「オルゴール療法」という療法も生まれているのです。ここでは、オルゴール療法がどのようなものかや、オルゴール音の効果的な聞き方について詳しくご紹介します。
オルゴール療法とは
木々のさざめきや小川のせせらぎなど、自然の音を聞いてリラックスした経験のある方も多いのではないでしょうか。実は、オルゴール音にも自然の音に近いリラックス効果があります。その要因となるのが、「熱帯雨林や深い森に存在するといわれる超低周波から超高周波が、オルゴール音の響きに含まれている」ことだとされています。
まだ日本ではオルゴール療法は治療法として正式には認められていないものの、様々な病気に対し、多数の回復例が報告されています。
リラックス効果の高いおすすめの曲
オルゴールの聞き方によってもリラックス効果は変わってきます。BGMは病院で行っている診察内容や院内の雰囲気に合わせて選びましょう。
よりリラックス効果の高いおすすめの曲はパッヘルベルの「カノン」です。脳は聞き馴染みのない曲を聞くと興奮状態になるといわれているため、よりリラックス効果を求めるのであれば何度も同じ曲を繰り返し聞くほど効果が高まります。同じように、曲の中で何度も同じフレーズが繰り返されるとリラックス効果が高まるのです。カノンは「何度も繰り返す」という意味をもつ音楽用語で、ゆっくりと階段を下りるような旋律が繰り返され、心身をリラックスさせてくれます。
不安な気持ちをおさえる、とくに効果的な聞き方
日常でストレスや心の疲れ、不安を感じたときにもオルゴールが効果的です。自然の音に近いオルゴール音は、人間の呼吸や鼓動をはじめとした身体のリズムと同じようなリズムをもっています。オルゴール音と体内の音のリズムが同調することによって、より高いリラックス効果が得られるのです。オルゴール音は、不安で眠れない夜や寝つきの悪い日にも効果を発揮します。スムーズな入眠や深い眠りを行うためには、寝る前に身体も心もリラックスさせることが大切です。前述のとおり、オルゴール音を聞くことで脳波がリラックス状態となり、この作用が快適な眠りの手助けにもなるのです。
まとめ
BGMは、病院でも役立つ空間作りの要素のひとつ。待合室では緊張や不安を和らげる効果のあるクラシック音楽やヒーリングミュージックを、そして小児科では子どもの気を引く童謡をというように、場所ごとに音楽を使い分けることで、最適な空間を作ることができます。
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