音楽ジャンルと味覚の関係
カフェやレストラン、居酒屋などの飲食店にとって、その場を彩るBGMは欠かせない存在です。BGMは空間演出に役立てられるだけでなく、料理の味を引き立てる効果もあると証明されています。イギリスで行われた実験によると、「食べる料理と音楽のジャンルがマッチすることで、料理がよりおいしく感じられる」と報告されています。
実験を行ったのは、オックスフォード大学の心理学者であるチャールズ・スペンス教授。実験は700人の被験者を対象に、様々なジャンルのテイクアウト料理を、ロックやジャズなどの6種類のBGMが流れる環境で味わってもらい、検証を試みました。その結果、被験者たちは「音楽のジャンルによって、料理の味や食欲の有無が変わる」と明確に指摘したのです。
なかでも、最もマッチングするという結果が出たのはイタリア料理とクラシックの組み合わせです。その理由として、「両者は歴史的にも関わりが深いためではないか」と推測されています。また、スパイシーなインド料理にはアップテンポで激しめなロックがマッチすると報告されています。ロックを聞きながらインド料理を食べると、ジャズを聞いているときに比べて約4%も辛く感じられると発表されています。
その他、日本でもなじみ深い中華料理にはポップミュージック、寿司やタイ料理にはジャズがそれぞれマッチするという結果が出ています。
これらを参考に、自身が経営する飲食店で出す料理に合わせて、BGMを選曲してみるのも演出方法のひとつといえます。タイ料理などのエスニック料理が売りの飲食店であればジャズを、中華料理店であればポップミュージックを、イタリア料理が自慢の飲食店であればクラシックを中心に、BGMリストを編成してみてはいかがでしょうか。
音楽のテンポや音量と味覚の関係
音楽のテンポや音量、音程といった要素も、以前から人の味覚に影響を与えると実験で指摘されていました。例えば、大き過ぎるBGMの音は甘味や塩味の味覚を鈍らせるとされています。
ある実験では、大きい音と小さい音のホワイトノイズ※を聞きながら、クッキーとチップスを食べるという調査が行われました。その結果、大きい音のホワイトノイズを聴きながらクッキーとチップスを食べた被験者は、「甘味や塩味を感じにくかった」と報告しているのです。さらに、調子外れな音や、テンポが速すぎる音は、酸味を強く感じさせる効果があるとも報告されています。
※ホワイトノイズ...全ての周波数で同じ強度となる雑音。テレビの砂嵐など。
チャールズ・スペンス教授の実験結果を受けて、調査に協力したデリバリーフードの企業は、音楽と料理の相性に注目していると報告。料理とCDを同時に提供することも前向きに検討しているそうです。
お酒が甘く、美味しくなる?BGMはお酒にも効果あり?
前述した実験以外に、料理ではなくお酒を用いた実験も報告されています。被験者の男女80人を対象に「静かな場所」と「音楽のみが流れている場所」、「音楽とテレビの音声が同時に流れている場所」といった異なる環境で、様々な種類のお酒を飲んでもらい、そこで感じた甘味や苦味などを、被験者たちに記録してもらうという内容でした。
実験の結果、「音楽のみが流れている場所」では他の場所に比べて、お酒の甘味が強く感じられたと報告されています。この結果から、同じお酒であっても飲む環境が異なれば、感じる味も変わるということが分かります。「音楽とテレビの音声が同時に流れている場所」ではなく、「音楽のみが流れている場所」で最も甘味を感じられたという結果から、雑音のない環境でBGMを流すことで、よりおいしくお酒を味わうことができると考えられます。
様々なお酒を出すバーなどの飲食店では、静かで落ち着ける環境を整えて、お酒の美味しさや甘味を引き出すBGMも大切といえます。
音楽配信サービスで、料理に効果的なBGMを簡単に選ぶ
店舗用BGMアプリ「OTORAKU -音・楽-」では、国内主要音楽レーベルから海外のインディーズレーベルまで、豊富な楽曲を取り揃えているので、様々な料理に対応した効果的なBGMを見つけることができます。選曲は、業種や音楽ジャンル、イメージから簡単に検索ができ、また、独自の音圧調整技術で全曲の音量が一定なので、味覚を意識した音楽効果をふまえたBGM活用が容易にできます。
まとめ
人気の飲食店には、美味しい料理が必要です。さらに、そこで流れるBGMは、料理の味を引き立てる重要な要素です。今回紹介した情報を参考に、飲食店で流すBGMの選曲に役立ててみてはいかがでしょうか。